Pepper's Project Exhibition
ASIAN STYLEアジアンスタイル展

●Saturday Evenings Workshop
11/25sat PM4:00~9:00
PM4:00~5:30 Artist talk: 崔玉泳、朴信正夫妻
PM5:30~7:00 「2000.旺山開天祭」韓国江陵Art Festival参加レホート
Pepper's Galleryは「2000.旺山開天祭」に 17名のアーティスト、パフォーマーのメンバーで参加しました。
PM7:00~9:00 Party at Pepper's Loft Gallery(参加費1000yen)

崔玉泳、朴信正
「2000.旺山開天祭 韓国江陵Art Festival参加レポート」

このページでは三牧さんのリポートでその模様をお伝えします。。

. 2000年 第5回旺山開天 国際文化芸術祭
日本からの参加メンバー
ART CAMP
檀紀4333.9.20〜910.8
岩間 賢, 三牧 愛, 三瀬 夏之助

ART FESTIVAL
檀紀4333.102.17:30〜
森本 美穂, 白石 明日紀

場所:韓国 江原道 江陵市 旺山面 旺山造形研究所
主催:旺山開天文化芸術祭推進委員会, 旺山造形研究所
主管:江陵市(旺山面). 江陵大学. Pepper's Gallery
後援:ハンヌリ文化企画

-1年前に話は始まっていた-
1999年10月の事、Pepper's Galleryの我らがオーナー白石夫妻は韓国を訪れていました。崔玉泳先生*、朴信正先生*夫妻のアトリエを訪ねたそうです。夫妻は共に韓国を代表する芸術家で、大学の教授をしておられます。そしてそのアトリエはただのアトリエではありませんでした(旺山造形研究所*)。




そこで語られたのは、旺山造形研究所で韓国の建国記念日に行ってきたART FESTIVAL旺山開天祭の話、世界の様々な芸術家が参加するART CAMPの夢。個人の力でここまで成し遂げてきた夫妻のエネルギーと、 白石オーナーの実行力が一体となって、この、2000年 旺山開天祭 国際文化芸術祭は、 実現したのです。

-旺山造形研究所-
韓国ソウルから長距離高速バスに揺られて3時間、江陵市に到着。そこからまた車でずんずん山を上っていくとその中腹に、廃校を利用した旺山造形研究所があります。廃校になった小学校と聞いていたので4階建ての灰色の校舎がそびえているのを想像していましたが、白い塗り壁に、窓のさんと扉が木でできていて 青白いペンキで塗られた とてもかわいい一階建てでした。

運動場は砂ではなく青々とした芝生に覆われていて、先生の屋外彫刻作品が並んでいます* 部屋は教室の壁を抜いて三つあり、とても立派なギャラリーと先生のアトリエと、ミーティングルームになっています。この部屋で私たちはよくお茶しました。手作りのお土産も売ってます。私たちが作ったのもまぎれてます。




敷地内には先生のおかあさんや先生 が住む民家があり、お酒を飲んで 車で宿まで送ってもらえないとき等 はここに 泊まらせて もらい ました。屋外の大きなテント の中は木工作業用の電気工具類がそろっていて壮観です。 また ビニールハウスの作業場があり崔玉泳先生のプロジェクトを手伝っている作家さんたちが出入りしていました。

以下、韓国で無くした手帳に書いた事を思い出して

参加記録 (ART CAMP-2000年)
9.18(月) 成田発のUAがトラブルで次の日の朝一に飛ぶことになる。
9.19(火) 岩間&三牧、互いに初の韓国入り。
夜中に旺山造形研究所に着く。暗いなかにも敷地の広さが感じられた。 ミンパク(宿=いわゆるホームステイ)は山の頂きにある、驚く程のすんばらしい。
現代建築の別荘。あっという間に一日目が終わる。電気オンドルがぬくい。
9.20(水) 食事は制作するのに便利なためと手配してくれた向いの民家に 世話になる。毎食、全員がここで食べる。
日本で言うと朝は納豆に煮干しに卵ふっかけごはんといった感じの昔ながらの食事。三食ともキムチがでる。おかずはすべて赤い。覚えた韓国語は食事用語から。
昼-制作のために必要な物やプランを、通訳をはさんで話す。
周囲を案内してもらう。
9.21(木) 岩間さんは山へ、作品を創る場所を捜しに、私三牧は、スタジオの横の屋外に作業用の雨避けとしてテントを張る。一人に一人づつ付けてもらった通訳さんが、えらい手伝ってくれて恐縮+感謝。
9.22(金) 雨。観光に連れていってもらう。ART CAMP参加の韓国作家が一人到着。
夜、崔玉泳先生に、トラックで江陵の名所である海へ連れてってもらう。 松茸ののったステーキをごちそうになる。美味。幸せ。
互いの旅行会話本を指差しながらの意思疎通は、忘れられない思い出に。
9.23(土) 作業開始。岩間さんは山へ土掘りに、私はテントの下で水仕事(紙造り)。
仕事のある韓国作家は土日を利用して造りに来るが、新しい作家さんの 到着するたびに、夜は飲み会になる。アルコールの低いビールからといった優しい物ではなく、いきなり初めからきつい焼酎。名前はGREEN。
9.24(日) 〜 ひたすら、造る。宿と造形研究所と食堂の往復の毎日。韓国語が耳慣れてくる。
造形研究所にちびっ子集団がやってくる。こども教室らしい。 わんぱくそうなのが集団で岩間さんの手伝いに山へ登る。 2つのテレビ局が取材に来る。インタビューされたが、私達にテレビを見る機会は無く、放映された話は通訳さんから聞かされた。
シドニーオリンピックはいつのまにか終わっていた。
宿へは、崔玉泳先生運転のトラック、荷台に乗って振り落とされないように必死でしがみつく。かなりのスリル。はっきりいって恐い。空は満天の星空。
9.28(木) 白石明日紀さん到着。韓国語のノウハウを伝授。屋外の窯土の一枚石での焼肉パーティー。
9.29(金) 三瀬さんら到着。やはりパーティー。
9.30(土) フェスティバルのメンバー続々到着。いきなり増える日本人人口。パーティー。
10.1(日) 白石オーナーも揃って、メンバー全員一同に介す。前夜祭。 驚く速さで三瀬さんの作品が出来上がる。
崔玉泳先生、覚えた日本語は「すごーい!」。私達みんなここへ来て「すごい!」を連発していることに気付く。 本当に「すごい」ところなのだからしかたがない。
ART CAMP組、皆、作品完了。撮影の段階へ
右から岩間 賢、三牧 愛、三瀬 夏之助、そして韓国のアーティストJANG, WOOKIEとLEE, SANGCHUNらの作品




10.2(月) フェスティバル当日。午前は雨模様。心配そうな朴信正先生の顔が忘れられない。
5:30 フェスティバル開始。晴れる。

-ART FESTIVAL-
5:30〜 サムルノリ(韓国伝統の踊り。鳴りものを鳴らしながら練り歩く)で幕開ける。 神事*(神事)(日本の神道の祝詞にとても似ている)で神に祈り、始まる。
夕刻時、まだ明るい。
韓国人のパフォーマンスが続く。 ストリートパフォーマーの演技から伝統舞踊有り、前衛的な創作舞踊有り、太鼓演奏有りで目が離せない。詩人が熱く自分の書いた詩を朗読するシーンもあった。空の月がはっきりと浮かび上がるころ、 白石明日紀さんのパフォーマンスが始まる。
かなり冷えて来た。


-逢魔が時-
太鼓/渡辺 理恵
舞(雅楽舞)/弘山 眞智
舞/白石 明日紀
衣装/一木 奈々 飯村 礼美
声/江陵大学学生
演出/白石 明日紀




韓国のパフォーマンスは会場である運動場の一部や、設けられた舞台で演技していたのに比べて、日本からの二組は、共に会場全体の空間をを利用したものだった。太鼓の渡辺さんが鈴を鳴らしながら会場をめぐり*、舞台の範囲を設定し、観客の大きな輪の中で赤と青の巻き布を腰に付けた二人が対角線上に現れ、徐々に中心に向かってくる。布をセットすると 弘山さんの雅楽舞から始まり、中心から離れるごとに青い布はのびていき会場の端まで届いた。

弘山さんの舞いのなかでたびたび腹の底から気合いを出す*と、それに答えるように観客が同調するのには驚いた(声ー江陵大学学生)。子供達がかなり興奮していた。明日紀さんが走り出す。赤い布が宙に伸びる。悪魔的な舞い。弘山さんの舞いと明日紀さんの舞いの応酬。最後は中心の太鼓の前で、長い布をすべて身体に巻き付けて退場するのだが、その姿がとてもタイかどこかアジアの僧侶を思わせた。


-竹取物語-
横笛(能管)/根岸 啓子
パーカッション/森本 美穂
美術/三牧 愛




会場内の観客にまぎれて和紙の旗*(ゆれると鳴呼の竹が鳴る)を持った13人が四方八方から集まってくる。一所に集合するとアナウンスが竹取物語のあらすじを朗読しはじめる(韓国語、韓国の役者)。翁の持つぼんぼりに皆ついて会場を横断(かぐやひめを一目見ようと集まる群衆か求婚者達か)。

どこからともなく聞こえてくる笛の音。森本さんが屋外彫刻作品を打ち鳴らす。観客の輪が中心に集まってくる。根岸さんの笛が始まり、いつの間にか森本さんが中央にセットされたパーカッションの前にいて演奏が始まる*。 人々の輪がさらに中央に集中した。かぐやひめが再三の求婚を断り、 ついに天の 月に 帰って行く時、地の帝の軍が阻止しようと攻めてくる、 その激しさと ビジュアル的な美しさが音となって現れた。月をイメージした シンバルを銅鑼 のように鳴らして、かぐやひめは月に帰った。

韓国超有名バイオリニスト『ユージンバック』の演奏に会場は湧き、私達も踊り狂う。 ここで流した汗と共に何かしらの疲れも流れていったような気がした。 再三のアンコールに答えてくれたユージンバックは1時間以上も演奏し続け、さぞかし疲れただろうに、後でサインしてくれた。




午前1:30 フェスティバル無事終了。飲み明かす者、帰路に着く者...。
10.3(火) シャトルバスをチャーターして観光。旺山面の村長さんがごちそうしてくれた。そのままバスで高速バスターミナルへ向かい、お世話になった方々と別れる。めまぐるしくて、別れを実感したのは、高速バスで江陵をだいぶ離れてからだった。
10.2(月) 帰国。

最後に -人々-

11.20〜25 朴信正先生、個展( Pepper's Gallery)のため夫婦で来日されました。
11.25(土)5:00〜Pepper's Galleryにて旺山開天祭 参加レポート+VTR上映 会が行われ、参加メンバー全員はそろわなかったが、久し振りの再会を喜びました。今回国際規模 での開天祭は初めてだったことから、反省点、今後の提案など、 熱心に意見を求められ、打ち上げの為 Loft Galleryに会場を移しても、話は尽きませんでした。

今回は事前に宿の事も通訳の事もなにも解らないまま、自炊とテント暮らしを覚悟して出発しましたが、いざ到着してみると、通訳ボランティアの方々はローテーションを組んで世話して下さり、夜はホテルよりすばらしい軽井沢クラスの別荘にホームステイ、食事もとても気を使っていただきました。崔玉泳先生ご自身がすべての手配をされているようでその大変さは想像以上でしょう。崔玉泳先生、朴信正先生には本当にお世話になりました。

通訳ボランティアの方々は、事務局長さんがカタログも担当してたりと、通訳以上の 働きをされてて、大変なのに楽しそうだったのが印象的でした。とても親身に接してくれました。また今年から江陵市旺山面の行政からの支援があるということで、村長さん自ら毎日のように様子を見にこられ、はげましてもらいました。 付近の住民も気軽に散歩しにきて、 よく話し掛けられました。
言葉は全然解らないけど、ひとしきりしゃべっていくおばあちゃん や、小六まで日本語で生活していたという日本語が完ぺきにできるおじいさん、食事を作って くれたのも向かいの民家の普通のおばさんでした。 かまどを賞味二時間ほどで完成させて しまう腕のいい大工のおじいさんにもお世話になりました。

そしてフェスティバル参加の パフォーマーの 皆さんとも友達になれました。
もちろんアートキャンプの 韓国作家達とは 寝食を供にした 仲間です。

今回は沢山の人達に支えられているということが身体で実感できました。 それを作品を創る原動力にしてがんばっていくつもりです。
こんな素晴らしい”場”を作られた、崔玉泳先生、朴信正先生、チャンスを与えて下さった白石オーナーはじめお世話になった すべての人へ、感謝します。ありがとうございました。
三牧 愛


2001年からより充実したものにするため、奥さんの朴信正先生は、仕事をやめて旺山造形研究所の代表になられるそうです。